人生を変える「いのちのごはん」

画期的な治療法、それは「食べること」

あなたは、何のために食べますか。

生きるため?
健康のため?
楽しむため?

「えっ、そんなこと言われても……考えたことなかった」
こう思った方も多いかもしれません。食事って日常の、当たり前のことだから。

私たちって、毎日食べますよね。
食べないと死にますし。
そんな毎日やっていることを無意識に行ってしまうって、もったいないかもしれない――

そんな風に思うようになったのは、ちこさんの本がきっかけでした。

むすびのごはん
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私、胃腸が弱い族です。
食べても食べても太れません。つまりそれって、胃腸の消化吸収能力が低いってことなんですよね。何かあるとすぐ胃腸が痛くなります。

だからおなかが痛いって、もう日常で慣れてるまである。
そんなの当たり前、って感じ。
でも、それ、当たり前じゃないですよね。

それに気づいたのが、「食べ方って大事だよ」ってメッセージをもらったからです。

動画でちこさんがいうように「真剣に食べる」やってみるようにしたんです。
そうしたら、おなか、痛くなくなった。

びっくりです。
薬飲んでないんですよ。病院に行ってないんですよ。
ただ。食べる前に目をつぶって「これから命をいただきます。ありがとうございます」って心の中で唱えて、ながら食べしないでじっくり目の前の食べ物を見ながら食べただけですよ。

それで、おなか痛いのが大幅に軽減しました。

なんなんですか、これ。魔法ですか。
この謎を解明すべく、我々は大阪の奥地へ向かった……

仲間を求めて~導かれし者たち

上でご紹介したちこさんが店長のお店「御食事ゆにわ」。
行きたい。
行ったら「食べ方で元気になる」謎がとけるかもしれない。

クエストが決まったら、次にやること。
決まってますね。
仲間探しです。

そんな6月の夏至の日。
私は夏至祭と銘打って札幌で楽しいお食事会をしました。

写真手前に映っているのが、りいこさん。関西在住。
りいこさんなら……お食事ゆにわ、付き合ってくれるかしら?

私は、恐る恐るりいこさんにお伺いしました。
「りいこさん……ちょっと変なこと言っていいですか」
「ん、どうしたんです? どうぞどうぞ」
「あのぅ、私、どうしても行きたい大阪のお店がありまして……。『いのちのごはん』が食べられる店なのです」
「へえ、それは面白そうですね」
「あのぅ、ディナーが27,500円(2025年10月現在)なんですけれども……付き合ってもらえますか」
「いいですよ」

やった。
OKをいただけた。
私はいそいそとお食事ゆにわのディナー予約を取りました。

しかし、これでは終わらなかった――
新たなる仲間が出現したのです。

8月のある日。
私はいつものように太極セッションをしておりました。
そうすると画面向こうのお客様――キムキムがこんなことを言うではありませんか。

「りいこさんって、実は私の紹介なんですよ」
「えっ!?」
「私がりいこさんに『こんなサイトあるよ』ってリンデンバウムさんのことご紹介させていただいたんです」

知らなかった。
そんなことある?
だって――

「私、りいこさんと10月にゴハン食べる約束してるんです」
「ええーっ本当ですか? いいなあ私も会いたい」
「えっ、良かったら来ます? 大阪なんですけど」
「行きます!」※関東在住

関東の人に「大阪でゴハン食べよう」と誘う鬼畜所業。しかし、キムキムはさらっとそれに乗ってくださり、北海道民と関東民と関西民で、お食事ゆにわディナーが叶うことに。

なんなんですか、これ。魔法ですか。
この謎を解明すべく、我々は大阪の奥地へ向かった……

衝撃のディナー 御食事ゆにわ

さあ、やって参りました。
大阪は樟葉くずは、「御食事ゆにわ」。
関西から関東から北海道から。まったく違う地域に住む三人が集まりました。

しめ縄の前で、記念写真。
……って、しめ縄?
なぜ飲食店に、しめ縄?

こういった理由で、しめ縄が置かれているのですね。
ちなみに、素敵な神棚もあります。

10月ディナーのメニューは、こちら。

はじめは、重湯に入ったお餅。

もうね、この重湯。
重湯が、美味しい。

重湯って、ふだん召し上がります?
私はファスティングの回復食くらいでしか食べません。
「重湯を食べたい!」って積極的に思う機会って、あまりないのでは。

そんなマイナー料理、離乳食もしくは病人食的イメージの重湯。
この重湯が、美味しいんです。
味覚で伝えられないのが、つらい!

重湯が美味しい以前に、お白湯も美味しい。
それも衝撃でした。三人で「美味しい」「美味しい」「美味しい」と語彙力が消失する始末。

もちろんお餅も美味しい。しかも新米!

新米、収穫しました|ちこ
こんにちは、ちこです。 黄金の玄米。 目の前の一粒の米に、 どこまで想いを馳せられるでしょうか。 御食事ゆにわ( @uniwa_restaurant ) を始めて19年になりますが、 ありがたいことに、お米の心配をしたことは ほとんどありま

今もこうして、
京都・綾部の土地で、
この国の主食であるお米を紡ぐことに
携わらせていただいています。

良いお米作りが、これからもずっと、
この国で紡がれていくこと。

そして、その文化がもっともっと広がっていくこと。

これは、わたしが日々、
深く願っていることです。

新米、収穫しました|ちこ│ゆにわの総合サイト

次はアミューズ。

ここでりいこさんが驚きの声を上げます。
「えっ、このタイミングでフルーツ?」
確かにコースでフルーツが出てくるのは、メインの後と相場は決まっています。

サーブしてくださった店員さんは、こうおっしゃいました。
「アミューズというのは驚きをもって楽しんでいただける料理、ゆにわではそのように考えております」

果物の上にのっているのは、豆腐を中心としたソース。これがまたフルーツと合う。

生のいちじく。
本当にレア。
今「えっ? いちじくなんて今が旬じゃない」とあなたは思われたかもしれません。

生のいちじくって、北海道民には馴染みが薄いです。いちじくって足が早いから北海道ではあまり流通しないんですね。北海道でも高級スーパーに行けばありますけれども、日常に食べるようなものではありません。

ですから、津軽海峡を越えて本州行ったら、スーパーに生のいちじくが売っているのですよ。びっくりします。「干しいちじくじゃないの!?」と。
北海道民にとっての生いちじく、レア。

そして、ここでキムキムが感動の声を上げます。
「美味しい……柿、美味しい」
キムキムは茫然として私たちを見ます。
「私、柿って苦手なの。なのに、この柿は……美味しい」

そう、これです。
御食事ゆにわマジック。
嫌いなはずの食材が、なぜか美味しく食べられちゃう。

さあ、お次は前菜のキッシュ。

ここから私たちは何度と繰り返す言葉を言うことになります。
「〇〇のはずなのに、自分が今まで食べていた〇〇とは違う」
このキッシュもそう。ふわっふわ。

こんなもの食べられる私たちって、幸せよね。
そんな言葉が唇からこぼれます。

戻りがつおのたたき。
稲わらを使ってたたきにしたそうです。

この右側のつけ汁には、日本最古の柑橘・大和橘がそっとしのばされています。かすかに鼻にフワッと抜ける、さわやかな香り。

初がつおとは違って脂がのって濃厚な味わいの戻りがつお。なのに、しつこくなくさらっと爽やかにいただけるのは、この大和橘のさりげない風味が効いているせいかもしれません。濃厚なのに、さわやか。このバランス感覚。

りいこさんは舌を巻きます。
「これだけ濃厚な味わいなのに、さっきから舌に残らないの。のどに通ったら、すっと消えていく。だから次々食べられちゃう」
キムキムは感嘆します。
「ここの料理って、すべてが調和している。すべての食材の良さがそれぞれ出ているのに、けんかしてない」

このお皿を見た瞬間、りいこさんは言いました。
「えっ? これって、おせち?」
店員さんは「さすがです」と。
「これはおせちです。おせちというものは、本来は正月だけではなく節分ごとに食べていたもの。今回のテーマは『紡(つむぐ)』――秋と冬の季節をつむぐ料理です。季節の境目という意味でおせちを出させていただいております」

ここでまたキムキムがうなります。
「私、柿嫌いなのに、この干し柿、美味しい……」
なますの味わいがまた、しっとりと上品。こういう味付けのお料理を頂くと、関西に来たなあと実感します。

お椀は、鯛。
気持ちの良いほどに透き通った美しいお出汁。
灰汁取りが面倒くさくて「もうこれでいいやー」で妥協してしまう、ずぼらな私には真似できません。これぞプロの技。

やっぱりね、関西の料理はなんといってもお出汁が美味しいんですよ。そしてそのお出汁が、柔らかくてあたたかくて心までふわっと包んでくれるんです。

炭火でこんがり焼いた、うなぎの白焼き。

またまた、りいこさんが驚きの声を上げます。
「うなぎの白焼きって、白っていうくらいだから普通はこんなに焼かない。これくらい火を通しちゃうと油が落ちちゃって、ぱさぱさするものよ。なのに、このうなぎはふわっと柔らかくてジューシーで濃厚。しかもカリカリに焼いてあるから香ばしい……。何これ。こんな白焼き食べたことない」

こうやって「こんな〇〇食べたことがない」を続けていくうちに、本日のメインディッシュが来ました。
私が一番食べたかったもの。

塩むすびです。

ディナーコースのおむすびは、一人一人の顔を見て、「この人にこのおむすびを」という想いで握ってくれます。ですから、サーブされる時に名前を呼ばれます。どれでも同じ、ではなく「世界でこの人のためだけに」握られた、おむすびです。

表情で伝わりますか。

体中に、じわっと伝わる温かみ。
お米一粒一粒を感じる、ひかりのごはん。
これこそが私にとってのメインディッシュ。

おむすびを食べただけで、ぽろぽろと涙がこぼれる。
「自分って、こんなに大切に想われてるんだ」
温かいものが心の奥からわきでてくる。

そんなことがあるんだと、佐藤初女さんの本を読んで知りました。

おむすびの祈り「森のイスキア」こころの歳時記 (集英社文庫)
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そんなおむすび、食べてみたい。
20年前の私は、そう思いました。
しかし、その願いは叶うことはありませんでした。初女さんは94歳の生涯をまっとうし、鬼籍に入られました。

「いのち」を養う食 森のイスキア 幸せな食卓のための50のメッセージ (講談社+α文庫)
「いのち」を養う食 森のイスキア 幸せな食卓のための50のメッセージ (Amazon)

それでもなお、2025年の今、心が温かくなるおむすびには出会えました。

初女さんは、たくさんの人の心を、おむすびを通じて救ってきました。ゆにわのおむすびも、そういうおむすびです。
ほんとうに、うれしい。

わたしが17歳の頃、

人生のすべてに絶望し

不幸のどん底にいたところから救ってくれたのは、

たったひとつの「塩おむすび」でした。

当時通っていた塾の先生が握ってくれた、

一見なんの変哲もないおむすびを一口食べた瞬間に、

涙があふれてきたのです。

おむすびを通して、無償の愛に包まれるような、

心の底からの「しあわせ…」という気持ちを、

思い出させてくれたから。

「お米と、塩と水だけで、人はこんなにも幸せになれるんだ。

いつか、こんなおむすびが作れるようになりたい--」

そんなふうに思っていたのは、

わたしだけじゃなくて、

当時一緒におむすびを食べて感動していた塾生たちが、

他にもたくさんいました。

その仲間たちと始めたのが、この『御食事ゆにわ』です。

人生を変えたおむすび | 御食事ゆにわ
人生を変えたおむすび | 御食事ゆにわ
わたしたちの原点。それは、日本人食の創造です

さて、次の一品は揚げ物。
胡麻豆腐です。

この添えられた紅葉がまたいいですよね。
紅葉おろしと葉で二重紅葉。まさに、秋です。

私達が食べた時はこんな器でサーブしていただきました。

りいこさんが、ほうとため息をつきました。
「この器、良いわあ、好き。うちでもこんな器でおせちを頂きたい」
そして、しょんぼり。
「だけど、これ以上器を買ったら夫に怒られちゃうー」

りいこさんとキムキムは二人で唐津に行ったこともあるそうで。
唐津、いい。
私は土っぽい器、刷毛目の隙間からちらりとのぞく土の武骨さが大好きです。

「魯山人もそうだけれど、料理を盛りつけた時に更に輝く器が素敵ですよね」
キムキムの言葉に、全員同意。
お料理をおいしくいただくサポートをしてくださる器って、なんて偉大なのかしら。

いもたこなんきん。
井原西鶴曰く、女の好むもの。
明石たこが、柔らかい!

このたこは、大根と煮たそうで。大根と煮ると、たこって柔らかくなるんですね。初めて知りました。そして、その大根はスタッフのまかないに。それもまた絶対美味しいですよね。笑

そして「魚料理」が出てくるのですが、これがまた期待をいい意味で裏切ってくるお魚料理なんです。こちら。

そう来たか!です。
「スープがこの順番で出てくるなんて、本当に面白い」とりいこさんは目を輝かせます。
「だって、さっきの塩むすびだって、ある意味ではグラニテのような役割を果たしているでしょう。アミューズのフルーツにしたって、この順番は独特。なのに、食べてて流れがあって違和感がないのがもっとすごい」

意外性があるのに、調和してすっとなじむ。
なんなんですか、これ。魔法ですか。

さあ、いよいよディナーもクライマックス。
メイン料理の登場です。

これ、本当にパン生地で包んでお肉を焼き上げてるんです。
切り分ける前の状態を、見せてくださいました。

パン生地の塩釜焼き。
はじめてです。

また、表情だけで伝わりますね。笑

キムキムが柿が苦手と言っていたように、私も実は、お肉って得意じゃありません。あまり食べません。

味が苦手なのではなくて、体質的に合わないと感じます。お肉を食べると気持ち悪くなったり、おなかが痛くなることがあるんですね。父も肉が苦手だったので、遺伝かもしれません。

でも、ゆにわのお肉は、おなかが痛くならない。

やっぱり、お肉って育てられ方とか屠畜の仕方とか、そういうので乗ってるエネルギーが変わってくるんでしょうね。本当に命に感謝して、心からその命の循環に敬虔に頭を垂れるとき、食材の持つエネルギーは変わってくるのではないか。そう感じます。

命を差し出してくださるいきものがいるから、私たちは今ここで生きていられる。肉体を維持することができる。
私たちって、なんて世界から愛されているのでしょう。

さあ、残るは甘味のみ。

このタルトタタンは、ゆにわのレジェンドスイーツ。ディナーの次の日、高橋政史さん(まっぷぅさん)に教えてもらいました。そんなデザートを出していただけるなんて、なんてツイているのでしょう。

さて。コースが終わり、タクシーの到着を待つひととき。
シェフの夏梅康輔さんにお話を伺いました。

以前見た動画の内容、本当だったんだ、と。夏梅さんご本人から聞いて改めて思いました。こちらです。

人生ってすごいですよね。
こんなことが起こっちゃう。
そして多分、御食事ゆにわに訪れる人にも、そんなご縁の魔法は起こるのでしょうね。

「(お食事ゆにわでは)すごい楽しい食事会だったんですよ(動画09:30頃)」

この動画内の夏梅さんのお言葉、よくわかります。本当に、あの空間であのお料理を頂けるというのは、楽しい。うれしい。

今回、それをりいこさんとキムキムとわかちあえたことがうれしいです。
美味しいごはんを誰かと一緒にわかちあえる。なんて幸せなのでしょう。

神棚の前で

りいこさんからはこんなコメントを頂きました。

キムキムからはこんなコメントを頂きました。

今回、話したことの一つ「稼ぐって大事」。

御食事ゆにわのディナーは、誰でもお誘いできるものではありません。私がりいこさんをお誘いできたのも、りいこさんがしっかりとしたキャリアを築いていらっしゃる方だと知っていたからこそ。

「お金をきちんと稼ぐって本当に大事。だって、収入があればこういったすばらしいご飯を頂ける機会が持てるでしょう。そして経験したら、人に伝えられるでしょう。『食事って大切なんだよ』って。だから、お金を稼ぐことは本当に大事」

私、今回のディナーって、よしながふみさんの「愛がなくても喰ってゆけます。」がリアルにできたなあと思います。

愛がなくても喰ってゆけます。
愛がなくても喰ってゆけます。(Amazon)

あのまんがの、非常に楽しい、官能ともいえる芸術ともいえるような食の深い喜び。それを3人で味わえたと感じました。うれしいです。

ちなみに、この「愛がなくても喰ってゆけます。」の2年後にはじまった連載があの名作「きのう何食べた?」です。

きのう何食べた?
きのう何食べた?

素敵なお食事を、素敵な方と、素敵な空間で。
人生の最高の楽しみの一つです。
神様のもとで、感謝と共に。

私たちはすでにすべてを与えられています。

御食事ゆにわ
わたしたちの原点。それは、日本人食の創造です

御食事ゆにわのランチ記事はこちら。

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