古武術の技法は、「体の使い方」を知るうえでとても参考になります。
そんな古武術の動画を視ていると、
こんなコメントが目に入りました。
何事においても上手い人は
力の入れ方よりも抜き方が凄い
わかります。
私は動いて動いて自ら外に出ていくのが大好きな性質なので、力んで空回って失敗することが良くあります。
逆に力をふうと抜いて「今ここ」にいると、するすると不思議なほど上手くいくことが多いです。
以前骨折した時もそのことを体験しました。
足し算ではなく引き算でこそ上手くいく、という現象です。
骨折した時、不思議な現象が起こりました。
食欲が激減したのです。
食べることを、引き算。
私と食事を共にしたお客様はご存じのことと思いますが、自分は実は、大食漢です。
元々は大量に食べる人間であります。
画像のイタリアンレストランで食事をした時も、ご一緒したお客様に
「Nozomiさんって、本当に、食べるんですね……」
と絶句されました。
すいません。
食べるんです。
私、体育会系脳筋運動大好き人間なので、とにかく食べるんです。
中学生の頃、3食に加えて部活(テニス部)の前に菓子パン2個食べて終わってからまた1個食べて、帰宅後に夕食前にインスタントラーメン1食とポテチ食べて、ばんごはん食べた後は食パンの上にツナ缶とマヨネーズたっぷりのせて焼いた夜食を22時頃に食べて、それでもお腹が空いて眠れないレベル。
――ここで何を伝えたいかと申しますと、こんな食欲大魔人の私の食欲が、骨折したらすうっと無くなったということ。
単純に動かなくなったから食べなくなった、とも説明できます。
しかし、運動しなくても食べる人は食べますよね?
あまり体を動かさないのに食欲がわく人もいますよね。
この時の私は、普段の半分も食べていないのにお腹いっぱいになりました。
不思議な現象です。
その時の私には、それがとても自然なことと感じられました。「具合が悪くて食べられない」という感覚はなく、食べられない焦りは沸きませんでした。なので、あまり食べないでガリガリに痩せるがままに痩せました。
それはアシュタンガ・ヨガを毎朝実践していた時と似ていました。
アシュタンガのプラクティスをしていると、空気中からプラーナ(エネルギー)が補給されてお腹が空かなくなりました。ヨガ、すごい。面白い。
なので、この時も自分の身体の反応を素直に面白がって、痩せるがままに痩せてガリガリになりました。お腹はぺたんこになって腰骨が浮き出ました。痩せてガリガリになっても身体が軽くて非常に調子は良かったです。断食中の体と心の軽さとちょっと似ているかもしれませんね。
アシュタンガをやると生理が止まってしまう女性がちらほらいらっしゃるようですが、さもありなん。あのメソッドを実践していると天上的に満たされてしまって、あまり地上的にならなくなってしまいます。そりゃあ生殖機能も止まるはずです。※個人の体験に基づく感想です。
私はそんな現象を面白いなあと思ってそのままガリガリ骨骨でいました。が、そんな私にも当たり前のことですが冬がやってきます。体脂肪率がおそらく10代半ば%くらいになっていた私は寒さの感覚におののきました。体の芯から寒いのです。脂肪がない体は、底冷えするのです。
寒い。
無理。
脂肪必要。脂肪大事。脂肪は暖房。
求むミートテック。
ALL I NEED is FAT.
ALL I NEED is FAT, FAT, FAT is all I need.
寒さに打ちのめされ、私は頑張って食べて体重を戻しました。体が暖かくなりました。ALL I NEED is FAT.
さて、骨折した時も「あまりにも自然に食べたがらない身体」を面白がって、2週間くらい少食になりガリガリやせました。
寝て起きて(少し)食べて寝て起きる――そんなループを繰り返していると、骨はつながってどんどん回復していきます。内出血は治まり、腫れが引いていきました。
そうすると、どうでしょう。
食欲が復活したのです。
面白い!
骨折から回復して普段通り歩けるまでになった時、私は元の食欲大魔神に戻っておりました。
さて、脳筋とは定期的に筋肉を自慢しないと死んでしまう哀れな生き物であります。ここをご覧のあなたも誰かから唐突に筋肉自慢をされた経験があると思います。
そんな時、「ああ、この人脳筋なんだな、かわいそうに」と思ってください。
どうぞ哀れな脳筋にお慈悲の光をお願いいたします。
私も生き延びるために腹筋自撮り画像を置いておきます。
前置きが長くなりましたが、もりもり食べることで腹部の脂肪も画像のような感じで回復して参りました。
うん、これぞ水泳人の脂肪多め筋肉。
幼稚園の頃から泳ぐの大好き!
運動すると脳からエンドルフィンが分泌されるので、幸せになれます。
体を動かすと心がスッキリ。
体が回復して心にも余裕ができたころ、私は思いました。
「なぜあれほどに食欲が落ちたのだろう?」と。
思いついたのが、風邪の時に起こる現象。
風邪で高熱が出た時も、食欲は落ちます。食べたくなくなったり、消化にに良いものを食べたくなります。
実は消化ってけっこう体に負担をかける行為なんですよね。エネルギーを使う行為。
風邪で高熱を出して免疫を上げようと頑張るには、消化に回すエネルギーは極力抑えたい。だから食欲が落ちる。
今回の骨折で起きたのも、この現象ではないか。
負傷箇所の回復に全力を注ぎたがった体が、消化にエネルギーを回すことを嫌がって食欲を落とした。
そういうことなのでは。そして、骨がつながって余裕ができてきたら、ふたたび消化にエネルギーを回すことができるようになって食欲が回復してきた。
そういうメカニズムで私の体は動いていたのだと感じます。
体って、本当にすごいです。
一番必要なことを知っている。
体の声を聴くって、実に面白い。
体は偉大なる小宇宙でありますね。
もちろん、ここをご覧のあなたの体も。
肉体があるって、面白い体験ですね。面白い学びです。
体があるだけでこんなワクワクした体験ができるのだから、私たちって本当に得してますね。ラッキー!