夏至祭で話したこと、2つ。
1つ目は「人を大切にできる人って、すばらしい」
今年、2025年の宝塚記念。
私の大好きなお馬さん、ゴールドシップの子が勝利しました。メイショウタバルといいます。
「メイショウ」という名前がつく馬は、松本好雄さんのお馬さん。
松本さんは、船舶用エンジンの製造会社の代表取締役会長。あの戦艦大和の主砲の建造にもかかわっていた歴史ある会社です。
この松本さんがまた、素敵な人で。
人も、馬も、とても大切にする人なのです。
松本さんの座右の銘は
「人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる」。

松本さんは、日高の中小の牧場からたくさんのお馬さんを買います。セリに出したら何億と値が付くような「ダービーで勝てるぞ」みたいなピカピカのお馬さんではない馬を、何頭も買います。
日高の小さな牧場は、経営が苦しいところもあります。そんな小さな牧場を支えてくれる馬主の一人が、松本さんです。
今回宝塚記念を勝ったメイショウタバル。
タバルの生まれた牧場は日高にあります。北海道浦河町の三嶋牧場です。
タバルのお母さんもお祖母ちゃんもひい祖母ちゃんも、この三嶋牧場で生まれて、松本さんがオーナーとなったお馬さんたち。
三嶋牧場の三嶋健一郎氏は、こう述べます。
「松本好雄オーナーは三嶋牧場が苦しい時代にも馬を買い続けくれました。そして、よく浦河まで足を運んでくれて牧場スタッフにまで声をかけ励ましてくれました。松本好雄オーナーは、三嶋牧場にとって本当に恩人です」と感謝の気持ちを言葉に込めた。
2025年06月15日 宝塚記念 G1 | 重賞ウィナーレポート | 競走馬のふるさと案内所
そんな松本オーナーを三嶋牧場に紹介したのが、武邦彦調教師。今回メイショウタバルに騎乗した武豊騎手のお父さんです。
武豊騎手。
松本オーナー。
そして、石橋守調教師。
今回の宝塚記念のメイショウタバルに関わったメンバー。
それはこう呼ばれます。
「チーム・メイショウサムソン」

メイショウサムソン。
名前で分かる通り、松本さんのお馬さんです。
2005年~2008年に活躍しました。
メイショウサムソンに騎手として乗っていたのが、今はメイショウタバルの調教師である石橋守さん。調教師とは、競走馬のメンテナンスをしたりトレーニングをしたりする現場のトップです。
石橋さんはサムソンと大きなレースを勝ちました。目をみはる活躍です。
そんな中、松本オーナーの脳裏によぎったのが「凱旋門賞」。フランスの大レースを、日本の馬で勝つ。そんな夢を松本オーナーは抱きます。
その時に、武豊騎手の顔がよぎるのです。
海外経験がある豊さんのことが。
フランスには、豊くんと行きたい――
でも、今まで石橋さんはサムソンと頑張ってくれました。結果も残してきました。
そんな騎手を切り捨てて、もっと有名な騎手に乗ってほしい――競馬界では別に珍しくないことです。
それなのに、松本オーナーは武さんと石橋さん二人の前で頭を下げました。
「今回ばかりは私のわがままを聞いて欲しい」
石橋さんに乗り替わりを告げる場であえて武さんを同席させたのは、二人の関係性を悪化させたくない、軋轢を残したくないという松本オーナーの想いからでした。
武さんと石橋さんは幼馴染。武さんは、石橋さんを兄のように慕っていました。思春期の頃には母の想いを裏切って騎手になりたい思う悩みを、石橋さんに打ち明けるような仲でした。武さんにお年玉をあげるような間柄だった松本オーナーは、二人の関係をよくご存じだったのですね。
勝負の世界、ましてや競馬の世界ではオーナーの鶴の一声で決まることも珍しくありません。騎手の乗り替わりなんて日常茶飯事。なのに、松本オーナーはここまで、武さんと石橋さんの関係を崩さないために心を砕かれたのですね。

その甲斐あって、武さんと石橋さんの信頼関係は崩れることはありませんでした。
華やかな武さんと対照的に、石橋さんは内向的でガツガツしていない人に見えます。サムソンでダービーを取ったら満足して騎手引退しちゃうような人。コミュ力低すぎて「通訳が必要」なんて言われちゃうような人。笑
そのためなのかはわかりませんが、調教師になってから重賞(大きなレース)を勝つこともありませんでした。
そんな石橋守にはじめてのG1制覇をプレゼントしたのが、武豊。
かつて自分をダービージョッキーにしてくれたメイショウの馬で。
いつもは飄々としている武豊が満面の笑みでガッツポーズ。
チーム・メイショウサムソンで得た勝利。
レース後のインタビュー。
その武さんの言葉に、すべてはつまっています。
人がつないでくれた馬の縁
そして馬がつないでくれた人の縁
さて、夏至祭で話した「人を大切にできる人って、すばらしい」、2つ目。
こちらはセンシティブな話題、人を選ぶ話題になりますので、合わない方はどうぞ無理をなさらず読み飛ばしてください。次のページで書きます。

